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2024年7月15日配信

代田 恒雄

東京コンピュータサービス(株) ソリューション事業本部イノベーションユニット エキスパート

老舗ITサービスプロバイダーが創る 位置情報活用イベントプラットフォーム

(所属や役職は配信当時の情報となります)

創業51年となる東京コンピューターサービスでは、ホールディングスのグループも含め医療、インフラ、金融など

様々な分野のシステム開発、エンジニアリングサービスを提供しています。

そんな老舗企業が取り組む位置情報サービス「Trail Route View」。

東海大学山岳部や大学のグライダー競技にサービスを提供するなど、新たなビジネスチャンスを開拓しています。

また、この技術は1万人以上が参加する

オートバイのツーリングラリー「サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー(SSTR)」でも活用されています。

この取り組みをきっかけに今年、日本三霊山をめぐる観光アプリをリリースしました。

イベントを通じた位置情報サービスの活用、そして今後の可能性などをお話頂きました。

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大学の山岳部、グライダー競技でも活用される位置情報サービス「Trail Route View」

東京コンピュータサービス(TCS)は約3,000名の技術者が在籍し、TCSホールディングスのグループも含め、医療、社会インフラ、情報通信、IoTユニット、製造業、金融など幅広い分野でシステム開発やエンジニアリングサービスを提供しています。

ソフトウェア会社としてスタートしたTCSですが、数年前にホールディング制を導入し、MUTOHや北部通信、セコニックなどのハードウェア会社を統合し、TCSホールディングスとなりました。

また、2024年10月にはソフト系の会社が一つに統合され、約8,000人規模の大きな企業となる予定です。

TCSの主軸事業はソフトウェア開発で、全体の8割から9割を占めています。エンベデッドチームや基盤設計チームもありますが、主に顧客の案件ごとのシステム開発を支援しています。

 

代田さんが所属する「ソリューション事業本部イノベーションユニット」では

10人のメンバーと共に既存ビジネスを超えた新規ビジネスの立ち上げに注力。特に位置情報サービスの展開に力を入れています。

そのひとつが、東海大学の山岳部と連携した位置情報サービスの提供です。

代田さんの友人でもある、山岳部の監督から、学生が合宿で山登りをする際に携帯電話の電池を緊急通信用に温存したいとの要望を受け、特殊な電池を搭載した端末を使用した実験を行いました。

このプロジェクトは、TCSのイノベーションユニット設立前に実験的に行われたもので

端末は2000mAhの大きめのバッテリーを搭載しており、1週間の夏合宿や冬合宿でもリアルタイムで学生の位置情報を把握できるように工夫されています。

実際に八ヶ岳や立山黒部での実験を通じて、マイナス30度の厳しい環境でも端末が正常に機能することを確認しました。

夜間はバッテリー消耗を抑えるために位置情報の取得間隔を1時間に延ばし、日中は細かく位置情報を取得することで、1週間以上充電なしで監視できるシステムを構築しました。これにより、本部監督や家族さんが都内や大学からリアルタイムで学生の位置を確認できるだけでなく、帰宅後にルートを振り返ることも可能になりました。

また、登山に加えて、大学の航空部と協力し、グライダー競技での位置情報サービスの実験も行いました。上空で携帯電波が使えないため、ローラ(LoRa)のローパワーワイドエリア(LPWA)技術を利用し、上空でも使用可能な端末を実験的に導入しました。東京六大学対抗戦でも使用され、位置情報のリアルタイム監視が可能となっています。

こうした取り組みはまだビジネス化には至っていませんが、新たな技術の実証実験として重要なステップとして取り組んでいます。

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1万人が参加するツーリングラリーSSTRでの活用。観光分野でのビジネスチャンスを開拓

オートバイのツーリングイベント

「サンライズ・サンセット・ツーリングラリー(SSTR)」でも6年ほど前からTCSの位置情報サービスが活用されています。

SSTRは、今年1万2千台ほどのエントリーがあった大規模なツーリングイベントで、

太平洋の日の出からスタートし、日没までに石川県千里浜のゴールゲートまでたどり着くというイベントです。

 

参加者はスマートフォンを使って道の駅やサービスエリアでチェックインし、ポイントを取得しながらゴールを目指します。このイベントでは、位置情報をリアルタイムで共有し、参加者同士の位置を確認しながら楽しむことができます。完走証も個々のデータに基づいて発行され、参加者にとって特別な体験となっています。

 

さらにSSTRの主催者とタッグを組み、石川県・富山県・静岡県の3県が今年立ち上げた「日本三霊山誘客促進協議会」と協力。

地域の観光振興を目指す事業もはじめました。

TCSでは三霊山を周遊するスタンプラリー形式の観光アプリ「日本三霊山巡り」をリリースしました。

このアプリは、観光客が指定された観光スポットを訪れてスタンプを集めることでポイントを獲得し、景品をもらえる仕組みになっています。

このアプリを通じて、観光客は各県の魅力を楽しみながら、地域の経済活性化に貢献することができます。

 

今年10月には三霊山を巡るツーリングラリーも実施されます。

このイベントは、富士山5合目をスタート地点とし、立山を経由して、石川県の白山市をゴール地点とする1泊2日のラリーです。参加者は、日本の象徴的な山々を巡りながら、観光を楽しむことができます。

 

SSTRの規模が大きくなるにつれ、地域全体の観光戦略へのデータ提供など、ビジネスチャンスも見えてきました。

今後は、イベントを通じて観光客の位置情報を統計的に分析し、3県の観光施策の検討などにも提案したいと考えています。

現状は途中の段階ですが、こうしたイベントで位置情報サービスが活用されることで、

今後も全国、海外など新たなビジネスチャンスを開拓していきたいということです。

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