日本国内に於ける位置情報ビジネス&マーケティングを展開する企業を中心としたカオスマップの2025年版(2025年10月更新)です。
<2025年版カオスマップからみる5つのトレンド>
●トレンド1: 産官学連携が深化し、“社会実装”が加速
地域と大学だけでなく、民間企業・行政・学術機関が深く協働して課題解決に取り組む事例や、アカデミア発スタートアップの誕生、OpenUASをはじめとする多様な産官学連携が進展。
防災・観光・都市計画といった社会課題に直結するプロジェクトが増加しました。大学・シンクタンクの知見、企業の技術、行政の制度設計・データ提供が三位一体となり、研究成果の社会実装が加速しました。LBMA Japanには多くの大学・研究機関が参画し、加盟企業との共創も広がっています。
●トレンド2: リアルタイム位置情報の集約化
従来はキャリアやアプリ、IoT機器ごとに分断されていたデータが横断的に統合され、さらにリアルタイム連携が進展。都市や小売での人流把握、モビリティ制御、防災対応など幅広い活用が可能となりました。広告・販促用途を超え、社会インフラとしての基盤が整い、生活者の利便性と社会全体の効率化を同時に支える仕組みが形成されています。
●トレンド3: 三次元計測・可視化技術が実務水準に
数年前までは屋外中心だった計測が近年では大型商業施設やオフィス、工場など屋内へ拡大。2025年には高さ計測が可能なBluetoothビーコンの普及や気圧を活用した高さ判定技術の進化、行政主導の3D都市モデルや3次元地図データの整備が進む中、没入感がある可視化技術の高度化と相まって、防災やスマートシティ、働き方改革など多様な現場での実利用が現実化しています。
●トレンド4: プライバシー強化技術(PETs)の進化
世界的にデータガバナンス強化の潮流が進む中、秘密計算、差分プライバシー、匿名化仮名化、合成データ、連合学習などPETsの浸透が加速。誰もが安心して位置情報を利活用できる環境が整いつつあります。LBMA Japanによるデバイスロケーションデータ活用ガイドラインの普及や、秘密計算の国際標準を採択する企業の増加により、その実効性は大きく高まりました。
●トレンド5: データ分析の現場実装とカテゴリの細分化
データ分析の役割分担が明確化しました。AI・サイエンスは高度解析やモデル開発を担い、調査・シンクタンクは社会動向や需要予測を提供。コンサルティングは企業・自治体の実装を支援し、GIS・エリアマーケティングは地域単位での可視化や施策立案に直結し、研究から現場業務まで一貫した実装体制が整い、産業全体の成熟度が大きく向上しました。

<カオスマップの変遷>
今回で6回目のアップデートとなる位置情報ビジネス&マーケティング業界を示す当カオスマップの掲載企業数と内容の変遷を時系列にて視覚化すると、
LBMA加盟企業数の変遷と連動して、位置情報業界も変化・進化していることがわかります。
位置情報データの活用はモバイルデバイスの普及を契機に黎明期を迎え、2020年以降その進化は技術革新と社会の要請に深く連動し、現在は広範な領域における基盤情報としての役割を担い、社会インフラとしての地位を確立しつつあることを示しています。
