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2026年3月2日配信

人を外に誘うことをソフトウェアの力で実現する

 

登壇:
内藤 万馬(株)ミックウェア ナビゲーションズ 代表取締役社長代行/COO

(所属や役職は配信当時の情報となります)

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カーナビを中心とした車載ソフトウェア/プラットフォーム開発の変遷と、コネクテッド化が「機能」から「体験価値」へシフトした潮流を解説します。位置情報を軸に、人を“外へ誘う“ための新スポット発見やSNS解析アプリ「Beatmap」、伝承・歴史を届ける「たまむすび」などを紹介。商用車向けナビや業務システムに組み込める「みちかつ」も展開。MWC Barcelonaではデジタルツイン基盤「Dynamic Street Map」を発信し、観光・インバウンド領域へB2C/B2B2Cでの拡張を目指します。

 

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車載ソフトウェアの進化と「体験」へのシフト 

株式会社ミックウェアは、長年にわたりカーナビゲーションを中心とした車載ソフトウェアプラットフォームの開発を手掛けてきた企業です。 内藤氏が同社に入社した2009年当時は、Bluetoothでスマートフォンと接続して音楽を聴いたり、外部から取得した情報をナビに設定したりすること自体に大きな価値が置かれていた時代でした。
しかし、この約15年で車を取り巻く環境は劇的に変化しました。現在はスマートフォンとの連携やクラウドサービスの活用は当たり前のものとなり、ユーザーの関心は「機能」そのものから、車の中でどのような「体験」が得られるかという点にシフトしています。 ミックウェアは、特定の自動車メーカー(OEM)に限定せず、幅広いメーカーや車種に対してソフトウェアを提供しており、各車種のターゲット層やニーズに合わせた多様なユーザー体験の構築に貢献しています。

「ソフトウェアの力で、人を外に」というビジョン 

 

ミックウェアが掲げるパーパスは「便利で楽しく安全に、ソフトウェアの力で人を外に」というものです。 位置情報技術を磨き続けてきた同社が考える「人を外に連れ出す」ための鍵は、ユーザーに「新しい目的地との出会い」を提供することにあります。
従来のカーナビゲーションは、目的地が決まっている状態での「移動の支援」が主目的でした。対してミックウェアは、SNSのデータを解析して今まさに話題になっているスポットを提案するアプリ「beatmap(ビートマップ)」や、土地に伝わる伝承や歴史的なエピソードを掘り起こして配信するアプリ「結(むすび)」などを通じて、外出の「きっかけ」そのものを創出しています。 徒歩や電車、そして車といった移動手段を問わず、気づきや驚きを起点とした能動的な移動を促す仕組みづくりに注力しています。

位置情報データに「時間」と「視点」の軸を加える 

内藤氏は、位置情報データの活用において、単なる緯度・経度の数値以上の価値を見出しています。 同じ場所であっても、訪れる人の背景や経験、さらには「時間軸」によって、その場所が持つ役割や意味は全く異なると指摘します。
例えば、ある地点において過去にどのような歴史的出来事があったのか、あるいは現在のその場所が他の誰かにとってどのような意味を持つのかといった情報を付加することで、ユーザーに新しい気づきを与えることができます。 このように、多角的な視野と時間軸を持って位置情報を取り扱うことが、ミックウェアが目指す高度な位置情報サービスのあり方です。

商用車向けソリューションと高度なナビゲーション技術 

 

ミックウェアはコンシューマー向けサービスだけでなく、商用車向けのソリューション開発にも定評があります。 ブラウザ上で本格的なカーナビゲーションを実現する「Relos Navi(リロスナビ)」の提供や、ナビゲーション開発で培った要素技術の切り出しによる業務システム支援などを行っています。
具体的には、GPSデータが不安定な環境下でも正確な位置を算出する技術(マップマッチング)の提供や、走行時間・距離の精密な算出など、ナビゲーションの基幹技術を部分的に活用することで、様々な業種・業態のシステム構築を支えています。

 

デジタルツインによるグローバル展開とMWCへの出展 

 

同社は、バルセロナで開催される世界最大級のモバイル関連展示会「MWC(Mobile World Congress)」にも積極的に出展しています。 展示の目玉となるのは、ミックウェアが推進するデジタルツインの実現を目指したプラットフォーム「Dynamic Street Map & Marketing(ダイナミック ストリートマップ アンド マーケティング)」です。
このプラットフォームは、日本のリアルな空間をデジタル上で再現し、国内外のユーザーが事前に現地の魅力を体験できる仕組みを提供します。 ターゲットは自動車業界に留まらず、観光業や地方自治体など、その土地の魅力を発信したい幅広い事業者を想定しています。 ユーザーや事業者が空間内にコンテンツを投稿し、それを見た他のユーザーが「この場所に行ってみたい」と感じるような、新しい発見と期待感を醸成する空間構築を目指しています。

今後の展望:B2BからB2C、そして共創のステージへ 

 

ミックウェアは、長年培ってきたB2B向けのシステム開発力を基盤としながら、今後はB2CやB2B2Cの領域においても、位置情報サービスを中心にさらなる価値提供を目指しています。
「人を外に連れ出し、楽しい世界を体験していただく」という目標に向かい、単独でのサービス展開に留まらず、多様なビジネスパートナーとの連携を重視する姿勢を示しています。 位置情報とソフトウェアの力を掛け合わせることで、移動そのものをエンターテインメントへと変えていくミックウェアの挑戦は、今後も加速していきそうです。

まとめ

 

今回のインタビューでは、株式会社ミックウェアの内藤氏より、車載ソフトウェアの歴史的変遷から最新の位置情報サービスの展望まで、多岐にわたる知見が共有されました。かつては単なる利便性の追求であったカーナビゲーションは、今やクラウドやSNSと連動し、ユーザーに新しい目的地を提案して「人を外に連れ出す」ためのプラットフォームへと進化を遂げています。特に、緯度・経度に「歴史」や「他者の視点」といった多層的な情報を付与するアプローチは、位置情報データの可能性を大きく広げるものです。また、MWCでのデジタルツインの展示に見られるように、同社の技術は国境や業界の枠を越え、観光や地域活性化といった新たな領域での価値創造にも繋がっています。ミックウェアは、今後もパートナー企業との共創を通じて、モビリティを通じた豊かな体験と、ワクワクするような移動社会の実現に取り組んでいくことが期待されます。

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