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2026年5月25日配信

TomTomが描く、AI時代の地図・交通データプラットフォーム
 

石橋 紀彰 TomTom Sales B.V. シニアアカウントマネージャー
長尾 淳史 プロジェクトマネージャー

(所属や役職は配信当時の情報となります)

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TomTomジャパンの石橋さん、長尾さんを迎え、同社の地図データ、ナビゲーション、リアルタイム交通情報サービスについて伺いました。世界規模で展開する地図データベースや、30秒〜1分単位で更新される交通情報、過去データを活用した分析サービスに加え、AI時代に対応したGeoParquetやMCP連携の取り組みも紹介。自動車領域にとどまらず、位置情報データを社会インフラとして活用していく今後の展望を語ります。

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トムトムの歩みとグローバルにおけるプレゼンス


トムトムは1991年にオランダのアムステルダムで設立され、30年以上の歴史を持つ企業です。創業当時はナビゲーションソフトウェアやデバイスの開発からスタートしましたが、現在はその知見を活かし、地図データ、交通情報、そして位置情報をベースとした各種製品を世界20カ国以上で展開しています。


同社の強みは、235の国と地域をカバーする広大な地図データベースにあります。自動車が走行可能な地域のほとんどを網羅しており、世界の情勢変化に合わせて柔軟にデータを更新し続けています。また、単なる地図の提供にとどまらず、デバイスから収集されるプローブデータを活用した高度な分析サービスも提供しており、世界中の自動車メーカーや政府機関、コンサルティング企業など、幅広い顧客層を抱えています。

 


位置情報ビジネスを支える3つの主要製品群


トムトムの事業は大きく分けて3つの柱で構成されています。


1つ目は、創業以来の核となるナビゲーションシステムです。現在は、自動車メーカー(OEM)向けの組み込み型システムや地図データの提供が主軸となっています。


2つ目は、世界規模で展開される地図データベースです。グローバルでビジネスを展開する企業にとって、国をまたいで統一されたフォーマットで提供される高精度な地図データは、サービス構築の不可欠な基盤となっています。


3つ目は、独自のプロセスで処理される交通情報サービスです。世界中の車両やデバイスから得られる位置情報を30秒から1分という極めて短いスパンで収集・加工し、リアルタイムな交通状況として提供しています。このデータは現在の渋滞状況の把握だけでなく、蓄積された過去の「ヒストリカルデータ」として、交通量分析や都市計画のコンサルティングなどにも広く活用されています。

 


リアルタイム交通データの提供とプラットフォームとしての役割


トムトムが提供する交通情報は、データの鮮度が重要視されるため、主にAPIやSaaSの形式で提供されています。これにより、利用者は常に最新の状況を自社システムに取り込むことが可能です。また、データベースそのものの提供も行っており、顧客のニーズや用途に合わせて柔軟な提供形態を選択できる点が特徴です。


競合他社、例えばGoogleとの違いについて、長尾氏は「トムトムはデータベースを提供する会社である」という点を強調しています。プラットフォーマーとしての側面を持つ他社に対し、トムトムは高品質なデータそのものを提供することで、他社のプラットフォームを支える役割を果たすこともあれば、特定の用途に特化したデータベースとして活用されることもあります。このように、データの「供給源」として中立的かつ高度な専門性を持っていることが同社の独自性といえます。

 


AI革命による地図メンテナンスの進化


2022年、トムトムは地図データの管理・運用プラットフォームを刷新し、AIを中心とした「AIドリブン」な体制へと移行しました。これにより、膨大な位置情報や画像データから道路の変化を効率的に検出し、地図に反映させることが可能になっています。


現在、グローバルな地図データベースは毎週更新される仕組みとなっており、この高頻度なアップデートを支えているのがAIによる自動化技術です。AIの導入は、単なる効率化だけでなく、データの鮮度を飛躍的に向上させ、より現実に即した情報の提供を実現しています。また、提供形式においても、データサイエンスやクラウドネイティブな環境に適した「GeoParquet(ジオパケット)」などのモダンな形式に対応しており、AIツールとの親和性を高めています。

 


AIツールとの連携とMCPの活用


AIの普及に伴い、トムトムは開発者やデータサイエンティストがより直感的に位置情報データを扱えるよう、新たな取り組みを進めています。その一つが「TomTom MCP(Model Context Protocol)」のリリースです。


これは、OpenAIのSDKやAnthropicのClaudeといった生成AIツールと位置情報APIを容易に連携させるための仕組みです。例えば、自然言語で特定の地域の交通分析をAIに依頼すると、AIがトムトムのリアルタイムAPIからデータを取得し、回答を生成するといった活用が可能になります。AI側の処理による遅延はあるものの、トムトムのシステム自体は30秒間隔のリアルタイムデータを提供できる性能を維持しており、業務プロセスへのAI導入を強力に支援しています。


⑥ 日本市場における展望とパートナーシップの強化


日本市場において、トムトムはこれまで自動車関連のビジネスを中心に展開してきました。しかし今後は、LBMA Japanの会員企業をはじめとする多様なプレイヤーと連携し、自動車以外の分野でも同社の技術や製品を活用してもらうことを目指しています。


具体的には、物流の最適化やスマートシティの構築、さらには自動運転技術の社会実装に向けた高精度データの提供などが挙げられます。また、日本国内のデータをより精緻なものにするため、日本の企業から位置情報やプローブデータの提供を受けるといった、双方向のデータ連携にも意欲を示しています。


グローバルな知見と、AIによる最新のテクノロジーを融合させることで、日本における位置情報ビジネスのさらなる盛り上げに寄与したいというのが、トムトムの掲げる今後の展望です。

 


まとめ


今回のインタビューを通じ、トムトムが単なる地図メーカーではなく、AI技術を駆使して世界中の動態をリアルタイムに捉える「データテクノロジー企業」へと進化している姿が浮き彫りとなりました。


30年以上にわたり蓄積されたヒストリカルデータと、30秒間隔で更新されるライブデータ、そしてそれらをAIで効率的に運用するプラットフォームは、今後の自動運転社会やDX化が進むビジネスシーンにおいて、極めて重要なインフラとなります。


特に、GeoParquetやMCPといった最新のデータ形式・プロトコルへの対応は、AIを業務に活用しようとする企業にとって大きなメリットとなるでしょう。日本市場においても、自動車業界の枠を超えた広範なパートナーシップを通じて、位置情報データの新たな価値創造が期待されます。トムトムの提供する高精度なグローバルデータが、日本の位置情報ビジネスにどのような変革をもたらすのか、今後の展開に注目が集まります。

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