2026年7月6日配信
オリコミからエリアマーケティングへ——evoliaが描く、紙・位置情報・AIの進化
鷹野寛之 (株)evolia エリアソリューション部 プロデューサー
(所属や役職は配信当時の情報となります)
旧社名「株式会社オリコミサービス」からevoliaへと社名変更した背景や、新聞折込広告を起点に培ってきたエリアマーケティングの知見について伺います。GPSデータや会員情報、居住者データを組み合わせた店舗分析、8,000拠点を超える分析経験から見えてきたデータ活用の本質、さらに生成AI時代における“ビジネストランスレーター“の役割について議論。紙媒体の市場が縮小する中でも、チラシやDMなどアナログメディアの価値をどう再定義し、位置情報やAIと掛け合わせて進化させていくのか。広告を出口に限定せず、データから事業者の次の一手を示すevoliaの展望を語っていただきました。
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社名変更の背景と「evolia(エボリア)」に込められた想い
株式会社evoliaは、2025年4月1日に「株式会社オリコミサービス」から社名を変更しました。この変更は、単なる名称の刷新ではなく、時代の変化とニーズの多様化に対応するための大きな決断でした。
創業のルーツである新聞折込広告の市場が、新聞購読者数の減少とともに縮小していく未来を見据えた戦略的な転換です。 営業活動の中で「折り込み広告以外も得意である」という認知が広まったことも、社名変更を後押しする要因となりました。「evolia」という名称は、進化を意味する「evo」と、ラテン語で集合体やビジネスそのものを表す「lia」要素を組み合わせた造語です。 自分たち自身が進化し続け、最新のデータや手法を取り入れながら、事業者に最適な解決策を提供し続けるという決意が込められています。 社名変更に伴う事務的な手続きや組織内での浸透には多大な労力を要しましたが、それ以上に「変化し続けること」を組織の使命として明確に打ち出しています。
折り込み広告の知見を活かした高度なエリアマーケティング
evoliaの強みは、長年にわたり新聞折込広告で培ってきた「エリア」に対する深い洞察力にあります。これをデジタルデータと掛け合わせることで、独自のエリアマーケティングを展開しています。
KDDIが提供するGPS位置情報データを活用し、特定の場所がどのような特性を持っているのかを精密に分析します。 GPSデータだけでなく、居住者の基礎情報や事業者側が保有するCRM(会員情報)データを組み合わせ、顧客の解像度を極限まで高めます。 流通チェーン、外食、教育、不動産、通販など、多岐にわたる業種のプロモーション支援を行っています。 単に広告を配信するだけでなく、どのような人が繰り返し来店しているのかといったCRM的な観点から、次の一手を提案します。 過去10年以上にわたり、GoogleやSNSなどのデジタル広告の比率を高め続けており、メディアに縛られない最適なプランニングを可能にしています。
8,000拠点以上の分析から見えたデータの真実と「組み合わせ」の妙
データ分析の重要性が叫ばれる中、evoliaは既に8,000拠点を超える分析実績を積み上げています。その膨大な経験から、データの扱い方に関する本質的な気づきを得ています。
かつては「位置情報データ」を手法として突き詰めることに注力していましたが、現在はデータそのものの「編集」や「組み合わせ」の重要性に立ち返っています。 分析の拠点を増やすこと自体が目的ではなく、手順や拠り所とするデータの選定が成果を左右することを体感しています。 外部の位置情報データに頼るだけでなく、自社内のデータを丁寧に整理・集計することで、これまで見えてこなかった事実が発見されるケースも少なくありません。 データの組み合わせによって価値が生まれるという、データ本来の面白さと難しさを重視した分析チーム体制を構築しています。 仮説を持ってデータに当たる一方で、他の材料が乏しい段階では外部データに頼りすぎるリスクも認識しており、複数の視点を持つことを徹底しています。
AI時代における「ビジネストランスレーター」の再定義
データ活用の現場では、技術側とビジネス側の「架け橋」となる存在が不可欠です。evoliaではこれを「ビジネストランスレーター(翻訳者)」と呼び、その役割を重視してきました。
技術を突き詰める側と、営業やビジネスを推進する側の間には、依然として理解のギャップが存在しています。 生成AIの台頭により、かつて人間が行っていたデータ構造化や翻訳作業の多くが代替可能になりつつあります。 AIは成功事例を提示することには長けていますが、その背景にある泥臭い失敗要因や、人間関係による特殊な成功要因までは考慮しきれないという限界があります。 地図の読み解きなど、現時点ではAIが完全に代替できない領域において、人間の分析者の価値が改めて問われています。 誰かが発明した汎用的な答えが瞬時に出る時代だからこそ、その出力をどう組織に実装し、クライアントに納得感を持ってもらうかという「翻訳能力」がさらに重要になっています。
アナログメディアの価値再定義:チラシ・DMの戦略的活用
デジタル化が加速する中で、チラシやダイレクトメールなどのアナログメディアの価値は、決して失われたわけではありません。evoliaはこれらを「使い方次第で強力な武器になる」と再定義しています。
紙媒体の市場規模は縮小傾向にありますが、それはメディアそのものが使えないということとは同義ではありません。「チラシは高い」といったコスト面での議論を超え、特定のタイミングやターゲットにおいて最も効果的な手法としての紙媒体を追求しています。 紙のチラシは、ある種の「境界線を超えた特殊なデザイン」であり、人々の視覚に訴えかける独特の強さを持っています。 他の事業者とのコラボレーションや、デジタル施策との連動など、メディアの枠を超えた有効活用を模索し続けています。 消費者のライフスタイルや行動変化に合わせ、紙媒体のデザインや届けるタイミングを常にアップデートしていくことがプロフェッショナルの役割だと考えています。
データ分析が切り拓く事業者の「次の一手」と今後の展望
evoliaが目指すのは、単なる広告代理店としての役割を超え、データを通じて事業者の未来を指し示すパートナーです。
位置情報データを時系列で並べたり、ダイナミックに束ねて分析したりすることで、一過性のプロモーションでは見えない課題を可視化します。 データと生成AIを掛け合わせることで、これまでとは全く異なる次元の価値を提供できるという確信を持っています。「広告を出して終わり」という出口戦略に限定せず、データそのものが事業の方向性を示す指標となるよう進化を目指しています。クライアントのビジネスを成功させることを中心に据えながら、社名が示す通り常に自らを進化させていく姿勢を堅持しています。 アナログと最先端の技術をハイブリッドで使いこなし、地域の経済活性化に貢献していく展望を描いています。
まとめ
株式会社evoliaは、新聞折込広告という伝統的なビジネスで培った「地域への視点」を失うことなく、デジタルデータとAIを駆使した高度なエリアマーケティングへと進化を遂げました。社名変更は、その決意の表れであり、縮小するアナログメディア市場の中で、データ活用の本質を突き詰めようとする挑戦の始まりでもありました。
8,000拠点以上の分析経験から導き出された「データの組み合わせ」の重要性や、AI時代における「ビジネストランスレーター」の必要性は、多くの事業者が直面している課題に対する示唆に富んでいます。広告を単なるプロモーションの道具としてではなく、事業の次の一手を決めるための貴重なデータソースとして再定義するevoliaの姿勢は、これからのエリアマーケティングのあり方を象徴しています。紙とデジタル、そしてAIを自在に融合させながら、地域の魅力を可視化し、ビジネスを成功へと導くevoliaの進化は、今後も加速し続けるでしょう。
