2026年11月2日配信
研究の「種」をビジネスへ――YELLOW大坂亮平氏が挑む「論文シーズ開発」
大坂 亮平(株)YELLOW 代表取締役
(所属や役職は配信当時の情報となります)
今回のゲストは、株式会社YELLOW 代表取締役の大坂亮平氏。大学や研究機関が持つ研究・技術の「シーズ」を、いかにビジネスとして社会実装していくのかを伺います。AIやビッグデータ、人流分析などの技術が進化する一方、企業や地域の現場で本当に使われるサービスにするためには、技術だけでなくマーケティングや事業設計が欠かせません。位置情報データを活用した人流分析、企業との連携、研究成果を事業につなげる際の難しさ、そして自動化・AIによって変わるこれからのビジネスまで。研究と市場の間をつなぐYELLOWの取り組みと、大坂氏が描くデータ活用の可能性に迫ります
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株式会社YELLOWの「研究シーズ開発」事業と設立の背景
株式会社YELLOW(イエロー)は、大学や研究機関が保有する研究論文や先端技術の「シーズ」を発掘し、民間企業が活用できる実用的なソリューションへと転換する「研究シーズ開発」を展開する企業です。代表取締役の大坂亮平氏は、コロナ禍以前に海外で技術監査の業務に従事し、世界各国と関わる中で、日本国内にある素晴らしい技術資産が十分にサービス化されず海外へ届いていない現状に問題意識を抱いていました。帰国後、自身の調査検証への探究心とキャリアを掛け合わせる形で事業を立ち上げ、大学や行政、産業界の現場と連携しながら、埋もれた技術を市場へつなぐ架け橋となっています。
プロスポーツクラブにおける人流分析とファンマーケティングの可能性
大坂氏の位置情報データや人流分析への取り組みは、プロスポーツクラブ向けのシステム開発や業務支援に携わった経験が大きな契機となっています。多くのプロスポーツチームが地域連携やファン獲得のマーケティングを強化する一方で、「観客がどこから訪れ、スタジアム周辺をどのように回遊して帰宅しているか」という詳細な人流データを把握しきれていない課題がありました。そこで株式会社ロケーションマインドと共同で人流データの可視化に着手し、行政連携やファンエンゲージメント向上を目指す県の事業として、長期的な実証プロジェクトを進行させています。
論文・先端技術から実サービスへの社会実装と多様な開発事例
大学の論文や高度な技術を実際のビジネスサービスへと昇華させるプロセスは容易ではありませんが、株式会社YELLOWでは多角的な領域で具体化が進められています。具体的には、医療分野における背骨の画像解析をはじめ、位置情報を活用した人流データの解析、企業のCO2排出量の可視化システムなど、幅広い分野で実用化に向けた開発が進んでいます。論文の理論段階にとどまる専門的な技術を、現場が求める実用的なシステムへと翻訳・再構築することで、社会課題の解決に直結するソリューションを生み出しています。
中小企業の現場課題を掘り起こす現場主義のコミュニケーション
日本の中小企業や製造現場には、優れた技術を持ちながらも人手不足や情報不足により、AIやデータ活用などの先端技術を導入できていない企業が多く存在します。自社の課題が言語化されていないケースに対し、株式会社YELLOWは必ず直接現場へ足を運び、泥臭いコミュニケーションを行う現場主義を徹底しています。職人や作業員の目線に立ち、事前に業界や業務内容を徹底的に調べた上で対話を重ねることで、顕在化していない本質的な課題を引き出し、現場に寄り添った最適な技術導入を支援しています。
自動化とデータ活用がもたらす現場業務の効率化とイノベーション
工場や物流現場における単純作業の自動化や業務フローの改善は、人手不足に直面する産業界にとって極めて重要なテーマです。位置情報データやIoT技術、各種センサーから得られるデータを既存の作業に組み込むことで、現場の負担軽減と生産性向上を両立させることが可能になります。株式会社YELLOWでは、単に技術をあてはめるだけでなく、新しいものづくりへの好奇心や意欲を持つ事業者とパートナーシップを組み、対話を通じて現場が真に必要とするイノベーションを創出しています。
群馬・蒲田から東南アジアへ:YELLOWが描く今後の展望と共創
現在、群馬県高崎市に本社を置く株式会社YELLOWは、事業のさらなる飛躍に向けて、多数の町工場が集積する東京都大田区蒲田への本社移転を計画しています。ものづくりの一大拠点に軸足を移すことで、優れた技術を持つ中小企業との連携を一段と強化し、共同開発を加速させる方針です。さらに将来的には、国内で確立した研究シーズ開発のモデルや共創ソリューションを東南アジア市場へ展開し、日本の技術力を世界へ発信していく構想を描いています。
まとめ
株式会社YELLOWの「研究シーズ開発」は、大学に眠る高度な論文・技術と、課題を抱える民間企業の現場とを強力に結びつける革新的な事業モデルです。プロスポーツにおける人流分析から医療解析、環境対応に至るまで、技術を具体的なソリューションへ落とし込むことで、社会課題の解決に貢献しています。
現場へ直接足を運ぶ徹底した対話姿勢と、東南アジア展開を見据えたグローバルな視点は、AI・データ前提社会における産学連携とイノベーションの理想形を示しています。研究と市場の間をつなぐ同社の挑戦は、日本の技術資産の価値を再定義し、持続可能な産業の発展を支える要として期待されます。
