2025年3月10日配信
井上 直也
パーキングサイエンス 株式会社 代表取締役社長
八方よしを実現する、駐車場データベース
(所属や役職は配信当時の情報となります)
2022年9月にスタートしたパーキングサイエンス。
駐車場検索アプリ「P-Collection』や、分析システム「Park-Labo」をはじめ、駐車場のデータベース化に取り組んでいます。
DX 化が遅れているという駐車場業界。
一方で、自動運転がすすむとともに、駐車場データの様々な活用が期待されています。
「八方よし」の駐車場データビジネスとは、位置情報データに期待することとは。お話を聞かせていただきました。
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“情報を積極的に公開しない”業界の慣習に一石 「駐車場のデータベース化」に取り組む
2022年に設立された、パーキングサイエンス株式会社は「駐車場業界の成長に貢献する」ことを目的とした事業を展開しています。
事業のコアとしているのは「駐車場のデータベース化」です。
同社の親会社は25年以上にわたり駐車場事業を運営してきましたが、
その中で業界特有の「駐車場情報を積極的に公開しない」という課題を感じていました。
既存の駐車場データベースは一見存在するものの、実際にユーザーが必要とする情報がすべて揃っているわけではありません。
住所や名称、そして「日常法」といった基本情報のみを記録したデータベースは存在しますが、
ユーザーが駐車場を利用する際に必要な「料金」や「駐車可能な車のサイズ」といった詳細な情報が欠落しているといいます。
特に、金額などの情報をネット上などで簡単に検索ができてしまうと、
近隣に新たな駐車場を作る際に、より安い金額を設定するなど、価格競争が発生しやすいため、控える傾向にあるといいます。
一方で、今後自動運転技術が進化するにつれ、駐車場の選定は人間ではなく“自動車自身”が行う時代が到来する。
そうした未来に対応するため、パーキングサイエンスでは駐車場のデータベース化に取り組んでいるといいます。
また、駐車場業界はその安定したビジネスモデルゆえにDX化が遅れている分野でもあります。
他の業界では海外のIT企業が進出し、ポータルサービスが発展している一方で、
駐車場業界にはまだ大規模なデータプラットフォームが存在しません。
「このままでは、業界の重要なデータや利益が海外に流出する可能性がある」との思いから、
パーキングサイエンス自身が業界内での情報還元と成長を支える、という思いのもと事業を立ち上げ、
独自のデータ基盤を構築してるといいます。
また、業界全体としても他業種ではポータルサービスが主流となっていることから
「情報を外に出さないといけに」という機運が高まっているといいます。
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駐車場ビジネスを「八方よし」のビジネスモデルに 位置情報との連携に期待
現在パーキングサイエンスは主に3つの事業を展開しています。
ひとつ目が、駐車場検索アプリ「P-Collection」です。
ユーザーが簡単に駐車場を検索・利用できるアプリケーションで、充実したデータベースをもとに、利便性の高い検索機能を提供しています。
ふたつ目は、駐車場事業専用マーケティングシステム「Park-Labo」。
P-Collectionのユーザーデータを可視化し、駐車場事業者向けに分析サービスです。
そして、もうひとつが、現在準備中の「API連携・データ提供事業」事業です。
既存のナビゲーションシステムやデジタルマップ等のプラットフォームに対し、駐車場データの提供を検討中。
直接データ連携により、5分毎のリアルタイム更新(場合によっては3分毎まで可能)を実現しており、
将来的には自動運転車が利用できる精度の高いデータベースを目指します。
現在約13万件の駐車場情報を管理しているパーキングサイエンス。
ユーザーにとって「今、利用可能な駐車場」がどこかを瞬時に把握するために、データ更新・メンテナンスは不可欠となりますが、
パーキングサイエンスでは、クローリング技術と直接データ連携を組み合わせ、
半数以上は運営事業者とのAPI連携によってリアルタイム更新が実現されており、その他の情報も週単位や月単位で更新されています。
一方で、データ連携が進んでいてない駐車場に対しては、Excelデータを送付してもらい、
アップロード入力するといった対応をとることで、正確性の向上に努めているといいます。
データ管理をすることで、キャッシュレス化や、ロック板を廃止する「フラップレス化」といった流れとも連動することが可能となります。
特に、フラップレス化においては、精算機をなくすことが可能となり「メンテンフリー」を実現できます。
現場での作業負荷を大幅に削減し、運営コストの低減にも寄与することが期待されます。
「三方よし」と表現される駐車場事業。
パーキングサイエンスでは、駐車場を単なる「場所の提供」に留まらず、事主、不動産会社、事業者、利用者、
さらには地域住民や観光局など、多くのステークホルダーにとって「八方よし」のビジネスモデルへと昇華させる。
各方面における情報の共有と活用が、業界全体の成長と競争力向上につながると確信しています。
また、今後は位置情報を活用した最新技術の導入や、今後のAPI連携の拡充によって、より洗練されたサービス提供を実現していく計画です。
従来の業界慣習に一石を投じ、充実したデータベースを基盤にした多角的なサービスを展開し、
デジタル技術とデータ連携を通じて、未来のモビリティ社会における駐車場事業の進化を牽引していく。
その挑戦と革新は、今後の都市交通やモビリティ社会における新たなスタンダードを創造する原動力となるでしょう。
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