2023年6月12日配信
細谷 正人
シナラシステムズジャパン(株)CEO
膨大なキャリアデータのマーケティング利活用を支える テクノロジー・AI・4万セグメントの運用
(所属や役職は配信当時の情報となります)
シリコンバレーの技術を日本でビジネス化した、シナラシステムズジャパン。
モバイルキャリアデータのマーケティング活用・来店計測というビジネスの枠組みを作り上げたシナラが、
次に挑む最適なAIやIDの概念について語って頂きました。
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モバイルキャリアデータをマネタイズするビジネスの枠組み
シナラシステムズジャパンは、米国シリコンバレーにあるシナラシステムズインクとソフトバンク株式会社のジョイントベンチャーとして、
2015年に設立されました。
シナラでは、シナラインクで開発されたプロダクトやシステムを活用してビジネスを展開する、セールスマーケティングを担当しています。シナラシステムズインクの強みは、ロケーションデータではなく、ネットワークキャリアのデータを利活用し、マーケティングに応用する技術にあります。
今では様々なキャリアデータを活用した、マーケティングビジネス、データビジネスは一般的ではありますが、シナラシステムズインクが設立した2012年当時は、技術的およびプライバシーの課題があり、キャリアデータの活用はあまり行われていませんでした。
シナラのテクノロジー、IPはそうした問題を解決したといいます。
設立当初、課題となったのがマネタイズです。そこで日本市場での展開がはじまった2015年、注目したのがiPhoneの存在です。
シナラの株主でもあるソフトバンクが、様々な場所にWi-Fi機器を設置したことから、Wi-Fiデータを活用したロケーションデータの利用に焦点を当てました。
ロケーションデータを用いたライティング計測やセグメント作成など、先駆的な取り組みを行い、現在も日本での事業を推進しています。
自社のビジネスだけではなく、位置情報データやキャリアデータの活用について広く啓蒙活動を行っているのもシナラの特徴です。資料やセミナーは、初心者でも理解しやすい内容になっており、データ活用に関する基礎知識を身につけるのに非常に役立ちます。これらのリソースは、同社のウェブサイトで公開されており、位置情報の学びを深めるのにも役立ちます。
キャリアデータをマネタイズするための挑戦を続け、設立から8年を経た現在では、オフラインでのセグメントに注力しています。
約4万のセグメントと、500種類以上の分析軸を使い多角的な分析を実現しています。
この取り組みにより、量と質の両面で多様なビジネスニーズに対応できるようになりました。
そして、テクノロジーも進化しました。データの利活用が一般的になった一方で、キャリアデータは、その量が膨大であるだけでなく、連続性も求められるため、その管理と処理には高度な技術が必要です。
そこで、シナラは、この分野での技術革新を推進し、キャリアデータの継続的な処理とリアルタイム分析を可能にするソリューションを提供しています。
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データはビジネスにおける「石油」その可能性を模索する
細谷さんは、データは現代のビジネスにおける「石油」のような存在だと話します。
データは様々な場面で利活用されますが、大元のデータの質と量を、データの根本をどのように扱うかが重要で、シナラではこの部分に注力しています。
さらにロケーションデータだけでなく、他のデータと組み合わせることで、より高い経済的価値を生み出すことができるといいます。
GoogleやAppleがこの市場を支配する中、細谷さんはキャリアの連合が対抗軸として重要だと話します。キャリアは、信頼性の高いネットワークとID管理を持っており、この強みを活かしてGoogleやAppleに対抗できるID連携の枠組みを構築することが可能です。特にヨーロッパでは、キャリア連合が独自のIDコンセプトを推進しており、シナラインクもこの動きを支援しています。
シナラは、昨年から一部の商品で、来店最適化のためのAIセグメントをリリースしています。AIを使ってデータを解析し、特定の店舗に来店しそうな人々のセグメントを自動生成しています。オンラインで進化した技術がオフラインに戻り、それを再びオンラインとオフラインの両方で活用する・・・こうした流れが進むなか、ロケーションデータは、このオンラインとオフラインの世界を繋ぐ重要な基盤となっています。シナラはロケーションデータを「デジタルとリアルを繋ぐ石油」として活用し、データの質と量を最大限に活かして、より効果的なマーケティング戦略を展開しています。このアプローチにより、デジタルとリアルの境界を越えたシームレスな体験を提供することを目指しています。
シナラでは、現在500〜600社と取引しており、さまざまな顧客のニーズに応じてサービスを提供しています。
顧客の多くが実店舗を運営する企業や、消費財メーカーなどですが、ロケーションデータの新たな活用方法については、まだまだ発展の余地があると考えています。
そのひとつが仮想現実(VR)、混合現実(MR)、拡張現実(AR)などの分野です。オンラインとオフラインの双方を組み合わせるなど、革新的なビジネス展開を模索する。今後もロケーションデータの新たな定義や価値の再考など、LBMA Japan加盟社と一緒に模索していきたいと話しました。
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