2025年9月8日配信
ロケーションインテリジェンスの可能性、GISプラットフォームの活用 @近畿大学セミナー
登壇者:浜本 智寿
ESRIジャパン株式会社
ソリューション営業グループ 課長
(所属や役職は配信当時の情報となります)
2025年7月14日に開催された、位置情報ビジネスセミナー@近畿大学
本セミナーでは、位置情報データを活用したビジネスの可能性について語られました。
各セミナーで語られた内容を数回に分け、ご紹介します。
GISの世界的なリーディングカンパ二ーであるESRI社。日本でもそのツール『ArcGIS』は、官民学様々な方面で活躍している。本講演では、そのArcGISを最大限活用するための様々なツールの紹介や、ロケーションインテリジェンスがどのように活用され、どんな課題を解決するのか、わかりやすく解説して頂いています。
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ロケーションインテリジェンスの可能性:GISプラットフォームの活用
本記事は、位置情報データ活用に取り組む組織のサイト担当者向けに、GIS(地理情報システム)ソフトウェア開発企業「ESRIジャパン」の浜本氏によるポッドキャストの内容をまとめたものです。
位置情報(ロケーション)を活用してビジネスの課題を解決する「ロケーションインテリジェンス」は、近年多くの企業で注目されています。ESRIジャパンは、GISソフトウェア「ArcGIS」を開発し、世界中で利用されている企業です。
ロケーションインテリジェンスとは
ロケーションインテリジェンスは、単に地図上にデータをマッピングするだけでなく、様々な地理空間データを重ね合わせて分析することで、隠れたパターンや新たな知見を発見し、迅速かつ効果的な意思決定を可能にするアプローチです。リアルタイムの情報を地図と組み合わせることで、状況の理解を深め、データの価値を最大限に高めることができます。
ArcGISが実現するロケーションインテリジェンスの事例
ArcGISは、以下のような様々な分野で活用されています。
1. マーケット分析
新規出店や海外展開を検討する際に、自社データや海外の統計データを地図上に重ねて分析します。コンビニエンスストアのケイ・ホ-ルディングスや外食チェーンのトリドールホールディングス(丸亀製麺)、サイゼリヤといった企業が、このプラットフォームを活用して市場分析や経営戦略に役立てています。
2. サプライチェーン・物流
原材料の仕入れから配送、店舗での販売に至るまで、サプライチェーン全体の最適化に活用されます。ロジスティード株式会社(旧日立物流)は、倉庫や納品先を可視化することで最適な物流サービスを提供しています。また、自動車メーカーのゼネラルモーターズ(GM)は、世界中の部品サプライヤーの位置を地図上で管理し、災害発生時の影響を迅速に把握しています。
3. 災害・リスクマネジメント
リアルタイムの災害情報を地図に重ね合わせることで、状況を素早く把握し、事業継続計画(BCP)に役立てることができます。ホテルチェーンのマリオット・インターナショナルはホテルのリスクモニタリングに、東京海上は災害データの顧客提供に、鹿島建設は災害情報共有システムに、それぞれArcGISを活用し、有事の際の意思決定を迅速化しています。
4. 設備管理
石油プラントや港湾、空港といった大規模な設備の管理に、デジタルツイン技術と組み合わせたGISが活用されています。オーストリアの石油プラント運営会社OMVや米国のコーパス・クリスティ港では、3Dモデルで設備を可視化し、リアルタイムでモニタリングすることで、現場に行かずに状況を把握しています。
まとめ
ArcGISは、地理空間情報を最大限に活用できるプラットフォームであり、企業内に蓄積されたデータを、位置情報と結びつけることで、より価値のあるデータへと進化させます。
ドローンの空撮データやCADデータなど、様々なデータをGIS上で統合することで、業務の効率化と新たな発見を促します。
ロケーションインテリジェンスは、データ活用の概念をさらに一歩進め、あらゆる産業において事業の意思決定を強力に支援する鍵となるでしょう。