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2025年9月22日配信

トラック・バスコネクティッドデータの可能性について語る  by日野コンピュータシステム

登壇者:三好 景
日野コンピュータシステム株式会社
ソリューション推進部

(所属や役職は配信当時の情報となります)

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2025年7月14日に開催された、位置情報ビジネスセミナー@近畿大学
本セミナーでは、位置情報データを活用したビジネスの可能性について語られました。

各セミナーで語られた内容を数回に分け、ご紹介します。
日野自動車グループにてそのデータ活用を推進する日野コンピュータシステム(HCS)、人流と物流の課題をデジタルの力で解決し、持続可能な社会の実現を目指しています。日野自動車のトラック・バスなどから取得される「コネクティッドデータ」がどのように様々な社会課題を解決していけるのか、そんな内容についてわかりやすく解説して頂きました。

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コネクテッドデータとは?

 

コネクテッドデータとは、通信機能を備えた自動車(コネクテッドカー)から収集されるさまざまな情報の総称です。位置情報、速度、燃費、エンジンの状態、ワイパーやヘッドランプの使用状況など、多岐にわたります。これらのデータはリアルタイムで収集・蓄積され、分析することで、ユーザーの利便性向上や企業の効率的なビジネス運営に役立てられています。

スマートフォンから収集されるデータと同様に、コネクテッドデータも、私たちに「快適で便利な生活」を、企業には「効率的なビジネス」をもたらす大きなメリットがあります。例えば、車の鍵の開閉やエアコンのON/OFFをスマートフォンから操作したり、駐車した場所を特定したりするサービスなどがその一例です。

 

BPO事業の核心とは?

まず、ポールトゥウィンの事業の柱であるBPOについてお伺いしました。BPOとは「ビジネス・プロセス・アウトソーシング」の略称であり、企業の業務プロセスを外部の専門業者に委託することを指します。メールや電話による顧客対応、コンテンツの編集・入稿といったバックオフィス業務から、サービス運用まで多岐にわたります。

近年、日本の多くの企業が直面している労働力不足は深刻な問題です。2024年問題をはじめ、自社で全ての業務をまかなうことが難しくなる中、必要な時に必要なだけ外部リソースを活用するBPOの需要は急速に伸びています。ポールトゥウィンは、この流れをいち早く捉え、クライアント企業のサービス運営を後方から力強く支援しています。

特に注目すべきは、ポールトゥウィンが北海道の札幌を拠点の一つとしている点です。札幌は人口が多く、すでに多数のコールセンターが集積していたため、人材確保がしやすい環境が整っていました。これにより、質の高いBPOサービスを安定的に提供できる体制が構築されています。

物流の未来を拓くトラック・バスのコネクテッドデータ

 

乗用車データが個人の行動パターンを捉えるのに対し、商用車、特にトラックやバスのコネクテッドデータは、より大きなスケールで物流や経済、産業の動向を捉えることができます。

日野コンピュータシステムは、日野自動車製トラック・バスから収集されるデータを「日野コネクテッドデータ」と呼び、これらをビッグデータとして活用しています。25万台以上の車両から取得されるこのデータは、走行台数、速度、OD(発着)分析、停車頻度など、詳細なカスタマイズが可能です。
 

トラックデータ活用事例

 

日野コネクテッドデータは、以下のような社会課題の解決に貢献しています。

・交通・物流効率化: 渋滞や通行止めのリアルタイム把握、スマートインターチェンジ開通後の物流効率化の定量評価などに活用されています。道路管理者は、カメラや巡回車だけでは把握しきれない広範囲の道路状況を、データによってリアルタイムに可視化できます。

 

・防災: 災害発生時、どの道路が通行可能かを瞬時に把握し、救援車両の最適なルートを確保するなど、防災分野での活用が期待されています。

 

・カーボンニュートラル: 水素ステーションの設置場所選定にデータを活用する事例もあります。トラックの走行量と停車頻度が高い場所を特定することで、需要と供給のミスマッチを防ぎ、効率的なインフラ整備に貢献します。

これらの事例は、これまで大規模な調査やアンケートに頼っていた交通・物流動向の把握を、データによって迅速かつ正確に行えることを示しています。

まとめ:データ活用で社会貢献を目指す

日野コンピュータシステムは、日野コネクテッドデータを分析・加工して、建設コンサルタントや物流サービス企業、自治体など、幅広いパートナーに提供しています。これにより、物流の効率化、交通インフラの最適化、災害時の迅速な対応、そして脱炭素社会の実現といった社会全体の課題解決に貢献することを目指しています。

この分野はまだニッチかもしれませんが、そのデータの価値は非常に高く、まさに「人流・物流の課題をデジタルの力で解決する」というパーパス(存在意義)を体現しています。今後は、さらに多くの企業や団体との共創を通じて、より豊かな社会の実現に向けてコネクテッドデータの可能性を広げていくことでしょう。

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