top of page

2023年4月22日配信

中村 将之

(株)ネクスティ エレクトロニクス 事業開発ユニット DX事業推進部 FA技術企画グループ グループリーダー

『1cm』のセンシングが革新する現場のDX​

(所属や役職は配信当時の情報となります)

ネクスティ エレクトロニクスが展開する、カナダ発の『ZeroKey』は

超音波を使い、人・モノの位置情報を高さも含めて『1cm』の範囲でセンシングするソリューション。

既存技術で「だいたいの位置」だったセンシングの範囲が『正確な位置』に変わることで

ファクトリーオートメーション(=工場の自動化)自体のあり方を変え、本質的なDXの実現に貢献します。

製造現場での活用のみならず、流通業、プロスポーツなど様々なシーンでの活用についての展望を語って頂きました。

 

====

超音波を使用!『ZeroKey』がもたらすスマートFA。

豊田通商の完全子会社として、主に半導体の販売やエレクトロニクス製品の設計、製造、販売、組込みソフト開発を行ってきたネクスティ エレクトロニクス。

トヨタ系ということで、自動車関連の仕事を中心に展開してきましたが、同社が注力するオフライン領域・特に工場のデジタル化や

スマートFA(ファクトリーオートメーション)に関連するビジネスが急速に成長しています。

自動車業界におけるFA市場は規模も大きく、近年はデジタル化の波が押し寄せ、従来の生産プロセスを革新する動きが加速しています。

その変革の一翼を担うのがネクスティ エレクトロニクスです。

スマートFAやDX(デジタルトランスフォーメーション)に焦点を当てる同社が特に注力しているのが、

カナダのZeroKey社の屋内位置特定システムです。

従来、主流だったUWBやRFIDなどの電波を使ったソリューションに代わり『ZeroKey』のシステムは超音波を使用。

プラスマイナス1センチ以内という高い精度で屋内の位置情報を取得します。

『ZeroKey』のシステムは、超音波の直接波を使用し、アンカーノードと呼ばれる固定ポイントと人やフォークリフトなどにつけた

モバイルノードとの間で位置情報をやり取りします。

電波よりも速度が遅い超音波を使用することで、より正確な位置情報を得ることができます。

そのため、工場や倉庫などの屋内環境において、高い位置精度を実現し、生産性の向上に貢献します。

『ZeroKey』のシステムを活用することで、従来の工場オートメーションの枠組みを超えた革新的なソリューションが実現し、

産業界全体に新たな価値をもたらすことが期待されています。

 

====

「超音波」の利用で低コストを実現。作業効率や安全性の向上に貢献にも期待

 

音波を使った技術は、従来の無線通信技術よりも部品がシンプルなためコストが抑えられるという特長があります。

ただ、導入する場所に音を通さない障害物などがある場合、正確に情報を取得することが難しくなるという問題や、

反射波などの問題が発生する可能性もあります。

一方で、4月中旬に正式リリースされた新バージョンでは、IMUとのセンサーフュージョンにより、位置情報の正確性が向上。

これにより、工場などでの利用においてもより信頼性の高いシステムが提供されることが期待されます。

 

『ZeroKey』は工場内の物流に活用されています。フォークリフトやAGV(無人搬送機)、AGF(無人搬送フォークリフト)などの動きを追跡。

さらに、人の手に装着することで、人の動きをトレースし、デジタル化。

ベテランと新人の作業比較や改善点の特定などが行われ、作業者のスキル向上にも役立っています。

さらに、アメリカではバーチャルフェンスというシステムが利用されています。

これは、危険な場所への立ち入りを防止するために警告を出すシステムで、事故を未然に防ぐ役割を果たしています。

 

将来的にはロボットが人間の動きをトレースし、再現することが可能になるかもしれませんが、新しい動きやアイデアの生み出しは、

依然として人間の役割が重要です。労働人口の減少が進む中で、人間は単純な作業から解放され、

より創造的な活動に集中できる環境が整えられることで、生産性が向上。新たな価値が生み出されることに期待が寄せられます。

 

こうした位置情報を工場内で“本格的に”活用できる背景は『ZeroKey』の特徴にあります。

従来のソリューションでは、位置情報を取得することはできていましたが、

X,Y,Zの座標情報がデジタルデータとして直接利用することは困難でした。

しかし『ZeroKey』は、位置情報をデジタルデータとしてソフトウェア内で直接利用できるため工場内での位置情報を本格的に活用することが可能に。

現在は、自動車メーカーや重工など大きな動きがある業界での活用が進んでいますが、一方で半導体工場のように動きが小さい業界では、

他のソリューションが必要とされる可能性があります。

製造工場以外の業界でも活用が期待される『ZeroKey』。運輸業界やeコマースのピッキング業務、屋内スポーツのトラッキングにも応用が期待されています。『ZeroKey』は屋内に強いため、フィギュアスケートや屋内で練習する競輪などの選手の動きのトラッキングの相談など、新たな活用事例の話も増えているといいます。

 

今後は日本国内だけでなく、日本企業が東南アジアに展開する工場などにもネットワークを介してサービスを提供できる可能性を見出しています。

現場監督の負担の軽減や、工場の効率化など、データを活用した解決策を提供し、業界全体の効率化に貢献することが目指しています。

関連キーワード:

#AI #データ分析 #ChatGPT#インダストリー4.0#超音波

bottom of page