2024年8月12日配信
橋本 拓
(株)キャドセンター 取締役社長
産業3Dビジュアライズが導く次の一手
(所属や役職は配信当時の情報となります)
37年の歴史を持つ株式会社キャドセンター。
現在は社名に入っている「CAD」ではなく、3DCGを中心とした産業ビジュアライゼーションが主力事業となっています。
キャドセンターが主力とするのは建築・不動産分野。
いまやマンション販売において欠かせない3DCGのパイオニアとして、業界をけん引してきました。
その技術は3D都市モデル制作や、防災に役立つデジタルソリューションなどにも活かされています。
今後展開を考える災害時に迅速な復興に役立つツール、そして宇宙分野などについてもお話を伺いました。
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建築不動産分野の3DCGにおけるパイオニア
建築・不動産分野のビジュアライゼーションを主力事業とする株式会社キャドセンター。
キャドセンターの創業は1987年、当時は日本だけでなくアメリカでも簡単にCGが作れる時代ではありませんでした。
まだパソコンは普及していなかったため、スーパーコンピューターを使用してCGを制作。
現在も3DCGを活用したビジュアライゼーションを展開し、建築不動産分野を中心に幅広く利活用されています。
ほかにも、約20年前販売を開始した測量や地図情報を基にした3D都市モデルにおいては、
建築や都市の表現に特化したサービスを提供しています。
建築不動産分野の3DCGにおける“パイオニア”ともいえる、キャドセンター。
約20年前から測量や地図情報を基にした3D都市モデルを販売し、正確性とフォトリアルなビジュアライゼーションを強みに、
産業分野のビジュアルコンテンツを提供しています。
特に、建築土木や不動産の販売プロモーションにおいて、その技術が評価されています。
キャドセンターはマンション販売における先駆者としても知られています。
「青田売り」といわれる日本の不動産業界において、CGによる事前ビジュアライゼーションは重要な役割を果たしています。
手書きのパースからCGへの移行は、正確でリアルな表現を求める不動産業界において不可欠な進化でした。
現在では、CGは単なる見た目の美しさだけでなく、不動産契約図書としての役割も果たしているため、より重要性が増しています。
こうした状況の中でキャドセンターは、産業分野における3DCGの利用をけん引し続けています。
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キャドセンターが取り組む3D都市モデル、その先に見据える宇宙ビジネス
さらに、キャドセンターではマンションやスタジアムなどの単体建築だけでなく
その建物がどのような雰囲気の中に立っているか、どのような街並みであるかを伝えるために都市モデルの整備に取り組んできました。
この取り組みにより、建物単体では伝えきれない情報を提供し、より広範な訴求力を持たせることが可能となりました。
この分野においては3D都市モデルを整備・オープンデータ化した国交省の「PLATEAU」があり
一見競合のようにも見えますが、キャドセンターではこうした動きもポジティブに捉えているといいます。
PLATEAUの登場によって、3D都市が広く使われる世の中になることへの期待や
PLATEAUではカバーしきれない部分に対して、キャドセンターの持つ町づくりやCGのノウハウを活かし
より完成度の高いビジュアライゼーションを提供するなど
キャドセンターが長年培ってきた技術を活かすチャンスとも感じているといいます。
キャドセンターの3D都市モデル制作は、複数の企業との協力により実現されています。
パスコから航空測量データを取得し、地図データはジオテクノロジーズから提供を受け
これらのデータをキャドセンターのプログラムで統合し、基本的な3D都市モデルを作成します。
さらに、東京タワーのような特殊な形状の建物などに対しては現地取材を行い、詳細なモデルを制作します。
こうしたプロセスを踏むことで、リアルな街並みが完成します。
キャドセンターのビジネスは大きく3つに分かれます。
主要なビジネスは、3DCGビジュアライゼーションを活用する建築不動産の販売促進です。
そして2つ目は、展示施設や企業のPR施設向けにインタラクティブな3Dデジタルコンテンツの提供です。
センサーを使ったインタラクティブな展示や、企業のブランドイメージを効果的に伝えるPRコンテンツなどが含まれます。
そして3つ目、キャドセンターでは都市データの販売も行っています。
顧客が自由に利用できる都市データを提供し、Cesiumなどのウェブプラットフォームと連携して使用することができます。
この分野はまだ発展途上ですが、将来的には大きな成長が期待されています。
キャドセンターでは、VRを使った災害体験など、防災に役立つさまざまなデジタルソリューションを提供していますが、災害時に関しても位置情報を活用したソリューションの開発をめざしているといいます。それが復興作業を迅速に進めるためのツールです。このツールでは、被災後に変わってしまった地形の測量データを迅速に取り込み、Cesiumを活用したプラットフォーム上で復興作業の計画を立てることができます。これにより、復興用の重機や避難所の発電機などの配置計画が効率的に行え、復興作業を迅速に進めることが可能となります。
キャドセンターは、創業当初から「綺麗な新しい建物」を作ることに焦点を当てていましたが
世の中全体がリサイクルやリユースへと以降するなかで、キャドセンターでもビジネスモデルの大幅なシフトを進めています。
特に、プロモーションからソリューションへと移行し、より価値のあるデジタルコンテンツの提供、
そしてLBMA Japanの会員企業などと協力しながら、防災や、インフラ整備など、新しいビジネスにつながるヒントを探しています。
その先に目指すのは宇宙分野や衛星技術に関連する事業。
スペースデブリの位置など、宇宙関連の技術やデータを活用し、
より広範なスケールでのビジュアライゼーションを実現することで、新たな価値を創造しようとしています。
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