2025年8月11日配信
地図と人流データの活用が支えるまちづくり byジオテクノロジーズ
営業統括本部ジオソリューションズ営業本部パブリックセールススペシャリスト 齋藤 寿一
(所属や役職は配信当時の情報となります)
2024年6月26日に開催された、LBMA Japan主催、「データがつなぐ地域の未来」をテーマに掲げた「上越アニバーサリーイヤー・位置情報利活用セミナー@上越妙高」。本セミナーでは、位置情報データを活用した地域活性化の可能性について深く掘り下げられました。
各セミナーで語られた内容を数回に分け、ご紹介します。
"地図と人流データでまちづくりを加速:ジオテクノロジーズの革新的な取り組み
本日、このイベントに登壇されたジオテクノロジーズ株式会社の斉藤氏が、同社の専門知識である地図と、新たな柱である人流データを組み合わせたまちづくり・観光施策への貢献について語りました。特に、行政機関向けの活用事例を中心に、データの可能性と展望が示されました。
====
ジオテクノロジーズの強みと変革
ジオテクノロジーズは1994年創業の老舗企業で、昨年30周年を迎えました。元々はカーナビメーカーのパイオニア傘下で電子地図制作を担っていましたが、2021年の事業承継を機に社名を変更し、新たなフェーズに入っています。
同社の特徴は、デジタル地図制作に特化した「リッチメーカー」である点です。地図の専門知識に加え、近年は歩くだけでポイントが貯まるアプリ「トリマ」のリリースをきっかけに、人流データをはじめとする多様なアセットを蓄積。これにより、地図と人流データを組み合わせた新たなソリューション提供が可能となりました。
斉藤氏は、長年の法人営業経験を持つベテランですが、公共分野の営業は昨年11月から担当し、行政関係者との連携を深めていく意欲を示しています。
観光施策におけるデータ活用の深化
観光施策の効果測定において、一般的には「来訪者数」「宿泊者数」「売上金額」といったデータが使われます。しかし、ジオテクノロジーズはさらに踏み込んだデータ活用を提案します。
斉藤氏は、単なる点としてのデータだけでなく、「いつ、どこから、どんな手段で訪れたのか(線情報)」、「宿泊の前後でどこに立ち寄ったのか」、「どんな人が、どんなお店で、いくら消費したのか」といった「隠れたデータ」を分析することで、より効果的な施策が打てると強調します。
ジオテクノロジーズは、自社サービス「トリマ」から得られる**GPSデータ(GeoPeople)と、ユーザーアンケートによる生の声(リサーチ)**を組み合わせたソリューションを提供しています。これにより、来訪者の「行動履歴」と「気持ち(インサイト)」の両方を把握することが可能となります。
「GeoPeople」では、トリマ利用履歴から得られるGPSデータに加え、個人が特定されない形で、性別、年代、居住地、家族構成、職業といったユーザー属性を紐付け、来訪者が「どう動き、どこで滞在したか」を詳細に把握できます。
北陸新幹線延伸と長岡花火大会の事例
実際の活用事例として、以下の2つが紹介されました。
・北陸新幹線延伸の影響分析: 昨年3月の北陸新幹線延伸前後(ゴールデンウィーク期間)の来訪者データを比較分析しました。その結果、鶴ヶ野への来訪者数は全年齢で48%増加。特に、石川県、東京都、富山県からの新幹線利用者が大幅に増加し、新幹線延伸が観光客誘致に大きな影響を与えていることが明らかになりました。
また、鉄道利用者とそれ以外の手段で訪れた来訪者の行動範囲を比較したところ、鉄道以外の利用者のほうが広範囲にわたって周遊する傾向が見られました。これは、自動車など利用者が、駅周辺だけでなく郊外の観光地にも足を延ばしている可能性を示唆します。このようなデータから、新幹線利用者向けの二次交通の充実など、具体的な施策を検討する示唆が得られます。
・長岡花火大会の人流分析と消費行動調査: 日本有数の長岡花火大会では、平常時と比較して27倍もの人流を記録しました。ジオテクノロジーズは、トリマユーザーの中から花火大会の会場に滞在していた人を特定し、イベント後にピンポイントでアンケートを実施する独自の強みを発揮。
アンケート結果からは、「また来たいか」といった来訪者の満足度だけでなく、「使ったお金」まで具体的に把握することができました。結果、「1万円未満」と回答した人が多数を占めたことから、今後、滞在中の消費を促すための施策を検討する必要があるといった具体的な示唆が得られました。
まとめ
ジオテクノロジーズは、長年培った地図技術と、アプリ「トリマ」から得られる豊富な人流データを組み合わせることで、行政や企業が抱える課題に対し、より深く、多角的な視点からの分析とソリューションを提供しています。
人流データは、単なる混雑状況の把握だけでなく、イベントの経済効果の測定、観光戦略の立案、都市計画の最適化など、幅広い分野でその可能性を広げています。斉藤氏は、データ分析の専門知識がない行政担当者でも気軽に相談できる体制を整えているとし、今後も地域社会の発展に貢献していく意欲を示しました。