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2024年5月27日配信

橘 克憲

(株)パスコ 経営戦略本部・サステナビリティ推進・海外戦略・海外子会社担当上席執行役員 本部長

地球をはかり、未来を創る、空間情報の活用

(所属や役職は配信当時の情報となります)

1953年に創業したパスコは、航空撮影を行う測量事業から今では人工衛星などの活用も含め、

様々な位置情報の測位を行うサービス・ソリューション事業を官民企業に展開している。

現在力を入れている、防災・減災、インフラ事業、宇宙事業のお話から、

日本で積み上げた経験や知見をASEAN各国への新たなインフラ構築、

日本企業の進出に寄り添うエリアマーケティング、物流ソリューションの展開などに力を入れています。

様々な人工衛星を活用した高精度な測位技術と、コンサルティングなど、

その総合力を活かした地球環境の持続のための事業についてお話頂きました。

 

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陸・海・空・宇宙!「測量」から進化した「空間情報サービス」

パスコの歴史は古く、創業は1953年。「地球を測り未来を作る、人と自然の共生に向けて」というビジョンに基づき、宇宙では人工衛星、空域では飛行機やヘリコプター、ドローン。地上では車両、水域では船舶を使用するなど、それぞれの特性に合わせた計測を行っています。

 

創業当時から、飛行機の航空撮影による測量事業をメインとしていたパスコ。

「測量」は変わりないものの、そのサービス内容は大きく進化しています。現在は測量結果を顧客に提供するだけでなく、収集した空間情報を加工・処理・解析を行うことで、社会の課題解決に貢献する「空間情報サービス」に進化させて提供しています。

パスコの事業内容は以下のように、大きく4つに分かれています。

 

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店舗や物流の戦略化・効率化だけではなく、災害時にはデータの「無償提供」も。防災・減災にも活用される「空間情報」

 

(1)防災・減災、国土強靱化の支援: 空間情報技術を駆使して防災・減災、国土強靱化を支援。

(2)インフラマネジメント: 道路、橋梁、上下水道などのインフラマネジメント。老朽化対策に位置情報を活用し、様々な支援を行う。

(3)環境対策・サステナビリティの推進: 空間情報とコンサルティング力を使い、再生可能エネルギーの普及や自然保護・再生を支援。

(4)海外支援:日本で培った空間情報技術を、ASEANを中心とした各国に提供。

「空間情報」とは「Googleマップ」のようなデジタル地図を活用し、その地図上に人口や店舗情報などの情報が追加されたものだといいます。これによって、様々な分析やシミュレーションが可能となり「新店舗を出店する」などの場合には、どの地域に出店すれば利益を最大化できるかなどの予測が可能に。戦略的な意思決定に役立てることができます。

ほかにも、物流業者に向けては効率的な配送ルートの提案や、カスタマーサービスとして車両の現在地、到着予測などをお客様がウェブ上で見られるサービスにも活用されています。

 

パスコでは大規模災害の発生時には、要請がなくとも飛行機や人工衛星を活用し、即座に被災地の状況を把握。その情報を地元自治体や企業に無償提供するといった活動を20年行っています。

今年の元日に発生した能登半島地震でも、緊急撮影対応班が即時に被災地の状況を把握。地元自治体や民間企業に無償で提供しました。

「飛行機や人工衛星を使う企業だからこそできることを」という使命感から行っている取り組みだといいます。

 

また、この取り組みに欠かせないのは、国際航業(LBMA Japanのメンバー)の協力です。同業他社でもありますが“位置情報を世の中に役立てたい”という同じ思いから協力し合うことで成り立っている取り組みだといいます。

またパスコでは防災・減災対策としてハザードマップから水害などの被害予測を立て、それをマップ化したものも各自治体に提供しています。

 

防災・減災といった意味でも注目されているのが、道路や水道管などの公共インフラの老朽化です。限りある予算から、まずはどこを修繕すべきか・・・こうした課題も「地図情報」「空間情報」を活用することで解決できるといいます。

「地図情報」から施設の年代や地理的な特性を把握し、災害リスクを評価することで、地震の発生リスクが高い地域や、古い施設が集中する地域を特定し、優先的に修繕・リニューアルを行うことができます。作業の効率化、ひいては維持管理コストを削減にもつながります。

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日本で培った技術・ノウハウを「ASEAN」に! 3つの視点で取り組む「未来のための測量」

災害大国ともいわれる日本で培った「地図情報」「空間情報」を活用したノウハウは、海外・ASEANへの展開の際にも注目されていますが、

パスコが海外展開、特にASEANでの展開において力をいれているのが「日本企業のASEAN進出」だといいます。

どこの国のどのエリアに出展すると、どれぐらいの売上が望めそうなのか・・・コンビニエンスストア業界からは、こうした要望が多く、ASEAN各国でのエリアマーケティングも積極的にチャレンジしています。

さらに空間情報を利用した「物流サービス」についても、日本で培った技術がASEAN各国での活用を目指しています。

 

海外展開において課題となるのが「飛行機の規制」ですが、それを補完するのが「人工衛星」だといいます。

パスコの人工衛星はレーダーなどを使用しているものもあり、熱帯地域など、雲の多い地域のあるASEAN各国においても、その力が把握できるという強みもあります。

 

創業当初から変わらない「測量」の技術。そこに飛行機や人工衛星を利用した「遠隔の視点」。建設コンサルタントなどが現地で確認をする「近接の視点」。さらにAI分析なども活用した「分析の視点」といった3つの視点が加わったパスコ。その総合力を活かし「未来のための」測量事業を行っていきます。

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